天使の涙
空席クラスメイト
「はーい!皆ぁ、席についてー!!」
「起立、気をつけ、礼!」
「おはようございます」
施設から一時間弱歩いた場所に私が通う高校がある。殆どの生徒が徒歩かヘルメット着用の自転車通学。
教室は各学年に二つずつしか無く、生徒の人数は十数名で構成されている。都会と違って、ここには不良と呼ばれる俗種はいない。
施設の子供たちは殆どが学校に行ってないと畑山先生に聞いた。でも、私は学校に来るのが好きだ。
友達と呼べる人はいないけど、ここは唯一、沢山の知識を身に付けられる場所だから。
「出席を録りまーす。相沢さん、伊東くん、河合さん――…」
先生が一人一人の名前を読み上げて行く。わざわざそんな事をしなくても、人数が少ないんだから見れば直ぐに分かるのに。
「西嶋さんと廣瀬くん――…は今日も欠席かぁ」
空いている席は二つだけ。私の隣の席の¨廣瀬悠斗¨って名前の男の子と、一番前の席の¨西嶋樹里¨って女の子が欠席している。
二人共ずっと休んでいて、噂によると入学式から一度も学校に来ていないらしい。
「では、授業を始めまーす」