天使の涙

壊れてしまった感情

『今日午後四時半過ぎに、東京都板橋区の住宅街で、義理の父親が六才の娘を刃物で刺す事件が起こりました。駆け付けた警察官により、父親は現行犯逮捕され、女の子は病院に運ばれましたが重傷です。父親は以前から娘に性的暴行を行なっていたとして、警察では父親を追及し、犯行の動機などを調べる方針です。では、次のニュースです―――…』


気紛れで付けたテレビから流れて来た残酷なニュース。それを聞きたくなくて、直ぐに電源を切ってしまおうとも考えたけど、結局最後まで聞いてしまった。


だって被害者の女の子の年が六才だったから。あの時の私も、六才だったから。


『凜ちゃん、良い子だね。そうそう、ちゃ～んと良い子にしてれば痛いことはしないからね』


私も幼い頃から義理の父親に性的暴行をされ続けていた。今でも鮮明に覚えている。とても優しかった義理父が¨鬼¨に変わる瞬間を。


『言うこと聞かない悪い子は、お仕置が必要だな』


違う。私は何も悪いことなんてして無いのに。ただあんたが楽しみたいだけでしょ？小さい子供に悪戯して、つまらない欲求を満たしたいだけ。


『ママには、ナイショだよ？』