始まりは恋の後始末 ~君が好きだから嘘をつく side story~
「あのさぁ、聞いてもいい?」

「いいですよ」

穏やかな声で返してくる。

「ん~・・この前朝起きた時の澤田くんは今までと感じも口調も違って驚いたって言うか何て言うか・・。あれは何だったの?」

そうあの日お酒の勢いで寝てしまった事に後悔したあの朝、突然『咲季さん』と呼んだり敬語を使わなかったり、あまりにいつもと違う澤田くんに戸惑ってしまったんだ。

「あの時ですか?う~ん・・あれはちょっとからかったのもあったけど・・」

「やっぱりからかったんだ!」

からかったという言葉に反応して彼の胸元をグッと押して睨むと、私の感情とは真逆の笑顔を見せた。

「からかったのはあるけど、あの時は僕の方が先に目が覚めてまだ気持ち良さそうに寝ている咲季さんを眺めながら可愛いなって思ったんです。今まであった距離が縮んだようで。起きた時に咲季さんはどうするかな?って考えたり。でも・・何よりも嬉しさで調子に乗ってしまったのが一番近いのかな?咲季さんを自分の手に入れられたようで嬉しかったんです」

「そう・・なの?」

「すいません」

悪びれた様子もなく、クスッと笑うように私の耳元でささやいた。
いつもならカチンとくるけど、今は何だかそんな気にならない。それよりも愛しさが込み上げてしまう。
そしてそれとは違う感情もジワジワとわいたりもする。
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