ラストバージン
ゆらゆらと揺らぐように、心が出口のない道を彷徨う。


榛名さんの気持ちを聞いた事で、自分が思っていた以上に彼への気持ちが明確なものだと自覚して。
言うなれば、それは〝恋愛感情の好き〟と何も変わらなくて。


しがらみを忘れて素直に返事をするのなら、ただ〝YES〟という選択を取ればいいだけ。


榛名さんは、私の過去を知らない。
だから……私さえその気になれば、きっと隠し通す事は出来る。


（でも、何かの拍子にばれたら……？）


そもそも、過去を隠したまま付き合うなんて出来ない。
大体、誰かと付き合うなんて考える事自体、許されるはずがない。


ジレンマに挟まれた心は、どんどん行き場を失っていく。
何も考えずに突き進む事が出来たら、どれだけ良かっただろう。


だけど……例えそうしたとしても、自分の罪を隠して榛名さんの傍にいる事を選んだ事を、いつかきっと後悔する時が来る。
そうなってしまった時、全てを打ち明ける事なんて出来るのだろうか。


答えはたぶん〝NO〟で、だからこそ心が揺らぐ。
浅はかだった自分を振り返っては唇を噛み締め、静寂に包まれた部屋で一人、ただただ過去を悔やんでいた――。

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