ラストバージン
「来てくれて良かった」

「約束は守るよ」

「葵のそういうところ、すごく好きよ」

「はいはい、調子いいんだから」


ため息混じりに返すと、菜摘はフッと笑った。


「じゃあ、行こう。お腹空いてるかもしれないけど、我慢してね。パーティーで良さそうな人と出会えたら、その後ご飯やお茶をする事もあるから」

「そういうの、私は別にいいから。今日は菜摘の付き添いだし」

「そりゃそうだけど、せっかく参加するんだから少しくらい頑張りなさいよ。大体、葵だって多少はそのつもりでいるから、そういう服で来たんでしょ」

「パーティーって聞いて、ラフな服装で参加出来る訳ないじゃない。それに、服なら菜摘の方が……」

「私は、今日は真面目に頑張るつもりだから」


きっぱりと言い切った菜摘は、本当にそう思っているらしい。
結婚に興味を示さなかった彼女からは考えられないけれど、やっぱりしっかりとした心境の変化があったのだろう。


菜摘との温度差をヒシヒシと感じ、まだ結婚には前向きになれない自分の将来を不安に思ったけれど……。だからと言って簡単にどうにかなるようなものでもないと開き直り、彼女の説明に相槌を打ちながら会場に向かった。

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