ラストバージン
「結木さんは、誰かの付き添いで参加されたんですか?」
「え?」
「最初のトークタイムの時も今も、明らかに乗り気じゃないようだったので」
ずばり指摘されて、目を小さく見開いた後で視線を逸らしてしまう。
「えっと、すみません……」
「正直な方ですね」
高田さんは、そんな私に嫌な素振りを見せる事なく瞳を緩め、クスクスと笑った。
「でも、別に謝る事はありませんよ。僕も最初はそうでしたから。と言っても、今日で二回目の参加なんですけどね」
おどけたような笑顔に、ようやく肩の力が抜ける。
それから、三十四歳で弁護士だという高田さんはとても紳士的に接してくれ、他愛のない話で盛り上がって……。
「フリータイム終了まで後五分です! 皆さん、残りの時間も楽しんで下さいね!」
マイク越しのスタッフの声が掛かるまで、時計を見る事もなかった。
「もうそんな時間か」
「そうみたいですね」
腕時計に視線を落とした高田さんに、笑顔で頷く。
「結木さん」
「はい」
「もしよろしければ、連絡先を交換して貰えませんか?」
すると、高田さんが優しい声音のまま、それでいて少しだけ強引にそんな事を口にした。
「え?」
「最初のトークタイムの時も今も、明らかに乗り気じゃないようだったので」
ずばり指摘されて、目を小さく見開いた後で視線を逸らしてしまう。
「えっと、すみません……」
「正直な方ですね」
高田さんは、そんな私に嫌な素振りを見せる事なく瞳を緩め、クスクスと笑った。
「でも、別に謝る事はありませんよ。僕も最初はそうでしたから。と言っても、今日で二回目の参加なんですけどね」
おどけたような笑顔に、ようやく肩の力が抜ける。
それから、三十四歳で弁護士だという高田さんはとても紳士的に接してくれ、他愛のない話で盛り上がって……。
「フリータイム終了まで後五分です! 皆さん、残りの時間も楽しんで下さいね!」
マイク越しのスタッフの声が掛かるまで、時計を見る事もなかった。
「もうそんな時間か」
「そうみたいですね」
腕時計に視線を落とした高田さんに、笑顔で頷く。
「結木さん」
「はい」
「もしよろしければ、連絡先を交換して貰えませんか?」
すると、高田さんが優しい声音のまま、それでいて少しだけ強引にそんな事を口にした。