ラストバージン
「え?」
声を掛けられたのだと気付いて、一呼吸遅れてから顔を上げた。
「結木さん、でしたよね?」
「あ、はい」
頷いたものの、目の前に立っている男性(ヒト)の名前が全く思い出せなくて、内心焦ってしまう。
「僕は、高田と申します」
そんな私の心を見透かすように、フワリと笑顔が向けられた。
「もしよろしければ、少しお話して頂けませんか?」
低姿勢で、丁寧な口調。
好印象な男性だったけれど、やっぱり年齢も職業も思い出せない。
それでも、手持ち無沙汰だったからという理由で小さく頷けば、また柔らかい笑みが零された。
「良かった。さっきお話した時に、フリータイムは絶対に結木さんに声を掛けたいと思っていたんです」
どちらかと言えばイケメンの部類に入るであろう、好意的な男性。
そんな男性にこんな風に言われて、嫌な気はしないだろう。
ふと高田さんの向こう側を見ると、明らかに私に対して三人の女性の厳しい視線が注がれていて、さっきまで彼と話していた人達だとすぐにわかった。
戸惑いながらも、その更に向こうで満足げに笑っている菜摘に気付いて、何だか少しだけ安堵した。
声を掛けられたのだと気付いて、一呼吸遅れてから顔を上げた。
「結木さん、でしたよね?」
「あ、はい」
頷いたものの、目の前に立っている男性(ヒト)の名前が全く思い出せなくて、内心焦ってしまう。
「僕は、高田と申します」
そんな私の心を見透かすように、フワリと笑顔が向けられた。
「もしよろしければ、少しお話して頂けませんか?」
低姿勢で、丁寧な口調。
好印象な男性だったけれど、やっぱり年齢も職業も思い出せない。
それでも、手持ち無沙汰だったからという理由で小さく頷けば、また柔らかい笑みが零された。
「良かった。さっきお話した時に、フリータイムは絶対に結木さんに声を掛けたいと思っていたんです」
どちらかと言えばイケメンの部類に入るであろう、好意的な男性。
そんな男性にこんな風に言われて、嫌な気はしないだろう。
ふと高田さんの向こう側を見ると、明らかに私に対して三人の女性の厳しい視線が注がれていて、さっきまで彼と話していた人達だとすぐにわかった。
戸惑いながらも、その更に向こうで満足げに笑っている菜摘に気付いて、何だか少しだけ安堵した。