チャラ男とちょうちょ
その日は起きた時からお腹がチクチク痛かった。
何か変だなぁとは思っていたけど、仕事も今日は休みだし、ゆっくり過ごしていた。だけど、チクチクは強くなるばかりだった。
安易に市販薬は飲まないようにと先生に言われていたから、もっと痛くなったら病院に電話してみようと思っていた。
何気なくトイレに行くと、血が出ていた。
あたしは慌てて病院に行った。

お腹の中には、もう赤ちゃんはいなくなっていた。
完全流産だと先生は言っていた。

あたしの目から涙が流れた。

「妊娠初期の流産は、お母さんが悪いのではなくて赤ちゃん側に問題があることがほとんどなのよ。だから、自分を責めたりしちゃあだめよ」

と先生は言ってくれた。
だけど…。
あたし、不安はたくさんあったけど赤ちゃんができたってわかってうれしかった。
先生は自分を責めるなとは言っていたけど、仕事を休まなかったからだとかこんなあたしの子供には産まれてきたくなかったんじゃないかとかいろいろ考えた。
待合室には幸せそうな夫婦や妊婦さんがいる。
あたしだけ、場違いなんだなぁと思うとまた涙が溢れた。
そんなあたしを、お母さんぐらいの看護師さんが落ち着くまでそばでいろいろな言葉をかけてくれた。
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