チャラ男とちょうちょ
「だけど、年取ってもこの世界で生き残れるのってほんの一握りの人間だけだもんね」

「ですよね…それに、No.1って言ったって後に何か残るわけじゃないし」

「そうなんだよね。素晴らしいことなんだけど、水商売でNo.1でしたって言ったってそんなの何にもならない」

「だけど、だからってやりたいこともないし他の仕事もほとんどしたことがないし。夢があればそれを頑張りたいから辞めるって言えるんですけど」

「真奈美ちゃんは夢、何かないの?」

「この世界に飛び込んだときは1番になることでした」

「じゃ、夢叶えたんだ!…今は?」

「………」

「別に仕事に限定しなくても、何かなりたいものとかさ」

龍さんに言われてあたしは少し考え込んだ。


「…あ!」


あたしは頭にひとつ思い浮かんで思わず声をあげた。

「なに?」

「…かわいいお嫁さん」

ぽつりと呟くと龍さんはニコッと微笑んだ。
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