チャラ男とちょうちょ
終わりにしよう
それからもちょこちょこ裕貴には女の子の影がチラついていることがあった。
あたしは、変わらずそれについて裕貴に問いただすことはなかった。

(どうせまた、彼女いないしとか言ってるんだろうな)

毎回そう思った。
その度に、あたしって裕貴の何なんだろうと考えた。
最初は、彼女って頭の片隅でもいいから思っててくれればと思っていた。
だけど、ひとり、またひとりと裕貴が手を出した女の子の存在に気づく度あたしは裕貴の都合のいい女になってるんだなぁと感じずにはいられなかった。

初めはそれでもいつかあたしを大切に思ってくれる日がくればいいやとか、なんだかんだ言ってあたしが一番だなって思ってくれればいいやとか思ってた。
だけど、一緒にいればいるほどそういう日が来ることはないなって感じた。

だんだん裕貴の隣にいるのが辛くなった。
一緒にいても、裕貴の心は違うところにあるんじゃないかと思ってしまう。
裕貴は、なぜかあたしの扱いがうまかったからきっとあたしの心の変化にも気付いてるんじゃないかと思う。

あたしの気持ちが沈んでるときは、迎えに来てくれた車の中で絶対にチョコレートとレモン味のミネラルウォーターを買っておいて、渡してくれた。
仕事前、泣き出しそうな気持ちのときは絶対に『好きだよ』のメールが来ていた。
うれしいはずなのにいつも心がズキンと痛かった。
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