黒愛−kuroai−
 


やっとメニューが決まり、店員を呼び寄せ注文する。



柊也先輩が、コップの水を一気に半分飲む。



喉が渇くだろうね…

今カノと元カノに挟まれ、気まずいだろうね。



必死に平静を保とうとする彼に、こう言った。




「柊也先輩、元カノさんに挨拶しなくて、いいんですか?」




口にした水を吹きそうになり、ムセていた。


先輩と付き合う以前、鈴奈の写メを一度だけ見せてもらった。



私と鈴奈の接点がソレしかないと思い込む彼は、

私が元カノの存在に気付いた事に酷く驚いていた。




「あ、あいつの事は…もう済んだ事だから…」




そう言って目を泳がせた後、苦い顔をする。



きっと鈴奈の“イケナイ写真”と、その後の激しい喧嘩と別れを思い出し、

嫌な気分になっているのだろう。




私達と鈴奈の間の客が、食事を済ませて席を立つ。


そうなると、更に意識してしまう。


お互いの会話もハッキリ聞き取れる。




気まずそうな柊也先輩の前に、パスタが運ばれて来た。


私はカルボナーラ、彼はボンゴレビアンコ。


今日は500円だが、正規の値段が1200円するだけあり、美味しかった。



< 184 / 276 >

この作品をシェア

pagetop