黒愛−kuroai−
やっとメニューが決まり、店員を呼び寄せ注文する。
柊也先輩が、コップの水を一気に半分飲む。
喉が渇くだろうね…
今カノと元カノに挟まれ、気まずいだろうね。
必死に平静を保とうとする彼に、こう言った。
「柊也先輩、元カノさんに挨拶しなくて、いいんですか?」
口にした水を吹きそうになり、ムセていた。
先輩と付き合う以前、鈴奈の写メを一度だけ見せてもらった。
私と鈴奈の接点がソレしかないと思い込む彼は、
私が元カノの存在に気付いた事に酷く驚いていた。
「あ、あいつの事は…もう済んだ事だから…」
そう言って目を泳がせた後、苦い顔をする。
きっと鈴奈の“イケナイ写真”と、その後の激しい喧嘩と別れを思い出し、
嫌な気分になっているのだろう。
私達と鈴奈の間の客が、食事を済ませて席を立つ。
そうなると、更に意識してしまう。
お互いの会話もハッキリ聞き取れる。
気まずそうな柊也先輩の前に、パスタが運ばれて来た。
私はカルボナーラ、彼はボンゴレビアンコ。
今日は500円だが、正規の値段が1200円するだけあり、美味しかった。