黒愛−kuroai−
 


「好きです…
柊也先輩が好きです…」




彼は少しだけ驚く。

今言われると思わなかったからだろう。



私の気持ちはバレバレだ。

毎日テニスコートに通い、アピールし続けて来たのだから。



驚いた後、彼は困った顔をした。

言われたのは予想していなかった言葉…



「俺…彼女いるんだ…ごめん…」



「………」



「最近反省してた。
思わせ振りな態度を取ってんじゃないかって…

彼女がいること、もっと早く言えば良かったな…
期待させてごめん…」




すごくショックだった。

“彼女”と言う言葉が心臓に突き刺さる。



“素敵な彼には彼女がいて当たり前”

そんな一般的な考えは私の頭にない。



だって…
彼の運命の相手は私だから。
赤い糸が見えているから。




私達の間に割り込んで来た
“彼女”…


その女…

どうにかしないと
イケナイネ…




< 36 / 276 >

この作品をシェア

pagetop