黒愛−kuroai−
 



 ◇◇◇


翌日から早速“彼女”について調べ始めた。


昼休みに柊也先輩の教室へ行き、こうお願いした。



「彼女さんはどんな人ですか?昨日想像していたら眠れなくて…

きっと先輩にお似合いの綺麗な人なんだろうなー。

写メとかあったら見せて下さい!」




邪気を隠して愛らしさを装う。

柊也先輩は何も感づかず、ポケットからスマホを取り出した。



見せてくれたのは、どこかの公園で写した画像。


肩までの緩くウェーブの付いた髪。

目が大きくて色白で、綺麗な人…


花畑をバックに立ち、白いセーラー服姿の彼女が微笑んでいた。




「この制服…聖心女学院ですか?」


「そう。他校だからさ、俺って、彼女持ちだと気付かれ難くて…」




なんとなく他校な気はしていた。

うちの学校なら、とっくに気付いて排除している。




凄く綺麗でお似合いだと、笑顔で褒めちぎる。


彼は照れながらも、私の質問にスイスイ答えてくれた。




聖心女学院 2年1組

清宮 鈴奈(スズナ)

吹奏楽部、パートはフルート

父親は開業医

門限は8時




へぇ…絵に描いたようなお嬢様…

ムカツクネ…




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