黒愛−kuroai−
 


「違うよ!彼氏なんて…私にはそんな…

この髪型はね、憧れてる先輩の真似をしたんだ」



鞄の中から携帯電話を出し、由梨は写メを見せてくれた。



まだダサ子スタイルの時の由梨と、憧れの先輩とやらが並んで写っている。


その写メを見て、口に含んだコーラを吹き出しそうになった。



憧れの先輩は、柊也先輩の彼女だった。

今日の昼、彼のスマホの中にいた女が、由梨の携帯の中でも微笑んでいた。



コーラのストローから口を離して聞く。



「清宮 鈴奈さん?」


「え?鈴奈さんと知り合い?すごい偶然ー!」




本当、笑ってしまう程の偶然。


そろそろ、どうでもいい由梨の話しを切り上げ、本題に入ろうとしていた所。

この話しの流れは好都合だネ。



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