ルナアガス
秋山博士
「あのぅ、秋山博士。一つ質問をしてよろしいでしょうか?」
秋山に、そう話しかけるのは研究助手の田中である。

「その前に、おはよう。田中君」

「あっ、おはようございます。博士」

「ふむ。質問とは何かね?」

「はい。ずっと疑問に思っていたのですが、この機械は一体何なのですか?」
助手の田中が大きな機械を指差した。

その機械は大型バスほどの大きさであり、頂上部分には煙突が付いており、常に青白い煙が出ていた。

五年ほど前に秋山博士が一人で作り、その機械の存在意義は誰にも知らされていなかったのである。

助手の田中が気になるのは当然である。

「この機械は、『ルナアガス発生装置』だ」
博士が言う。

「ルナアガス? 初耳です。博士が発明されたのですか?」

「そうだ。私が発明した」


< 1 / 7 >

この作品をシェア

pagetop