誰よりも優しい総長様
「柚那、お前はどうしてあそこから姿を消した?」
あたしがあそこから消えた理由
誰にも話せなかったあの日のこと
慶には1番知られたくない
そう思っていたあたしのあの時のこと
「あたしにはあそこにいる資格が無かったから。」
しかく…
「資格って何だよ。俺は言ったよな?忘れたなんて言わねぇよな?」
慶の声は酷く辛そうな声だった。
「約束は覚えてるよ。今でも、ちゃんと。」
「なら、なんでだよ!」
「あたしにはもうあそこにいるだけの価値なんて存在しないの。あたしが居るだけでみんなが巻き込まれちゃうのよ。」
あたしはただの足手まといでしかない。
「慶みたいに強くなりたかった…みんなを守りたかった…」
あたしは堪えていたはずの涙がこぼれ落ちるのを頬に感じながらそう呟いていた。
そんなとき、ふわっと抱きしめられる感じがした。
いや、感じがしたんじゃない。
抱きしめられてるんだ。