逢いたい~桜に還る想い~
★ ★
名残惜しそうに離れていく唇に寂しさを感じ、思わずぎゅっとしがみつく。
そんなあたしの髪を、郁生くんがそっと撫でて、
そして───
「………トーコさん」
郁生くんの口から放たれた言葉。
「さっきの、返事……」
「……? なぁに?」
「俺、行こうと思う───親のところに」
「………えっ」
聞き間違いかと思って、───そう思いたくて、顔を上げると……
────あぁ、最期の桜の下で再会した“真”と、同じ瞳……
全てを受け入れた、
全てを覚悟した、
………全てを諦めた、悲しい色。
『最期に逢えてよかった』
『それだけで十分幸せだ』
そう、儚く微笑んだ真の姿に重なる。
嫌だ……この先は聞きたくない……だって、
離れたくない。
失いたくない。
そう思いながらも、目がそらせない……