逢いたい~桜に還る想い~
「え……て、ココねーちゃん、うちに住むの!?」
『だって、転勤前に住んでたマンションは、今は人に貸してるし……。
しょーがないじゃない。
まあ、瑤子が置いてってる荷物は瑤子に引き取ってもらって、
香子と赤ちゃんはしばらく1階の和室かしらねぇ。
───それとも、あんたもそのまま一人暮らししちゃう?
……ってまぁ、それはさておきさ、
出産前に里帰りするのは、珍しいことじゃないじゃない。
娘生まれた時から、それくらいちゃあんと考えてるわよ』
「───……郁生くん…は」
『郁? 郁がなに?
……あぁ、割と冷静なあの子も、さすがに驚いてたけどねぇ。
なんせ、叔母の瑤子とより年が離れちゃってんだから!』
そう笑いながら話す母親の声が、耳を素通りする。