逢いたい~桜に還る想い~

─────…………


暗い……ただ真っ黒な空間の中に、私──そう、“澪”が立っていた。


澪が手にしているのは刀。


桜の夢と違うのは、時代劇でお侍さんが脇に差しているような、長いものであること。


柄(ツカ)を握り、スラリとそれを引き抜くと、剥き出しになった長い刀身が闇の中でギラギラと光る。


そして、澪が勢いよくその刀を振った瞬間、

────暗闇が一転して、ぱぁっと花が咲くかのように、紅く染まった。



そして……

二つの首がごろり……私の目の前に転がり、私は一歩後ずさった。

───その途端、何かにつまずき、尻もちをつく。


震える手をついて起き上がろうとし、


目が────合った。



カッと見開かれ、血走った目、

だらりと口から飛び出した舌、

そこから、滴り落ちる血……



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