本物の初恋
「みんな、準備できたよね?じゃ、さっそくいこっか!」

一年生の一軍メンバーの中でキャプテンの中野悠(なかの ゆう)が言った。

「よーし!じゃあラキバ目指して出発!」

茉莉が言った。

そして寮を出てから数十分ほど歩くと賑やかな街が見えてきた。

もう8時をすぎてるのにやはり都会は人が元気だな、と思った。

「おー!ラキバ着いたよ!」

「やったー!私ラキバならたくさん食べれるんだよねー!」

花が言った。

「...食べるのはいいけどしっかり消化しないと太るよ。」

はしゃぐ花にするどいツッコミをいれたのは、女バレの中では落ち着いている雰囲気の久我萌花(くが もえか)だ。

どんな時でも冷静な天才セッターだ。

中学2年生の県大会で初タイトルを獲得して以来、受賞した個人タイトルは実に10個をこえるという将来的に有望な選手だと監督が言っていた。

「とりあえず中入ろーよ。話はそれからね!」

『りょうかーい』

ひとまず私たちは店内に足を踏み入れた。




.........。慣れない。慣れるはずがない、といってもそれは当たり前の事。色々な客が行き交うこの店、ラッキーバーガーは通称ラキバ。

平均身長が170cmをこえる女子の集団を見たらそりゃ驚くとは思うけど。

そんな好奇な目をするのはやめてほしい。

まあ、これもしょうがないことなのか、そう思い私は本題を切り出した。

「あのね、みんなに話したい事があるの。私今日部活に少し遅れてきたでしょ?それね、部活の前に三年生の浪川瞬(なみかわ しゅん)先輩に告白したからなの。」

『えっっ!?』


「あはは...まあ、結果はみんなの想像通りふられたんだけど...ふつう好きな人にふられたらすごい落ち込むと思うんだけど、私そんなに落ち込んでないんだよね。むしろ、なんていったらいーのかな.....世間一般の好きのはちがかった気がするの。」

「.....ねぇ、棗。瞬先輩を見てドキドキしたことある?こう、胸が高鳴る感じ。」

悠がそう私に聞いてきた。

「うん、あった。バレーしてるときの先輩がかっこいいなーって。あのプレイには憧れるよね」

「...分かった。棗、あんたさ瞬先輩のこと好きじゃなかったんだよ。いや、正確にはloveの好きじゃなくてlikeの好き。尊敬とかの方だと私は思う。」
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