[B L]だからスキって言ったのに〒続編
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バタンッ
扉が閉まる音を背中で聞いた。
天野ははぁ、と深くため息をつく。
(オレのために頑張ったとか、そういうの別にいらねーよ…)
天野はそう心の中で毒づく。
しかし本心は、どこか期待してる自分がいた。
まだ追いかけてくれる。
信じてくれと、頼んでくる。
そう思っていた。
だから、いくらか余裕だった。
でも、夏音を目の前にすると、どうしても素直に“信じる”という言葉は口からでない。
天野なりの、意地だった。
だから、もう一度チャイムが鳴るのを無意識に待っていたのだ。
だが、チャイムの代わりに聞こえてきたのは、あのムカつく東悟の声だった。
しかも、なんだか騒々しい。
「…………ッ!?……………、……………!!!!!」
そして、声が一瞬止んだかと思うと、今度は激しいピンポンダシッシュ。
あまりのうるささに、扉を開ける。
するとそこには、
あのムカつく東悟の焦った顔と、
手に握りしめられた参考書と、
ぐったりと倒れた夏音がいた────…