青空恋モヨウ【完】
私たちは順調に勝ち進み、準決勝まで来た

準決勝の相手は団体戦で一緒だった二年生の先輩

「よろしくお願いします」

どうしよ…
もし…
もし勝っちゃったら…

怖いよーぉ

先輩「先輩後輩関係なく、実力で行きましょうね」

エスパーですか!?
この先輩は…


「はい!」














ハアッ
ハアッ


やっぱり強い

こっちが少しだけ勝ってるけど油断は出来ない

いつ攻め込まれるかもわからない

いつでも集中していないと…


結香「一本取るよ!」

「はいっ」

おなじみのかけ声を掛け合い、集中する

先輩がサーブのかまえをする

私たちはグッとかまえなおす


裕理「亜果音!頑張れ!」


パアンッ




ハァッ
ハアッ
ハァッ
ハアッ


なぜか私はエースを取り、マッチポイントになっていた


「ラスト一本!」

結香「はいっ」




駿「結香!!!」





その瞬間、結香は驚異的なスピードとコントロールのついたボールを打ち



審判「ゲームセット。ウィナー、峰岸・真壁ペア」



私も結香も呆然と立ち尽くしていた

先輩「亜果音ちゃん、結香ちゃん!」


先輩の声でハッと我に返った

「すいません!」

結香「ありがとうございました」


…ッ…

私、勝ったんだ…


やっと実感がわいた

その瞬間


結香「亜果音っ!?!?」

先輩「亜果音ちゃん!?」




「…え…?」


ポンポンと結香が肩を叩きながら、席へ連れて行ってくれる


かれん「亜果音ちゃん、お疲れ!」

かれん先輩もポンポンと肩を叩いてくれる


「ありがとうございます。少し、休んできますね」


私は香花のみんながいた場所から少し離れた休憩所まで行こうとした

結香「ついて行こうか?」

「大丈夫」

私がそこまで行くのに、すれ違う人たちが私をジロジロと見るがそんなのは気にしない


「ふう…」


裕理「お疲れ」

フッと目の前に裕理が現れた

「ありがと」

裕理は無言で私を抱きしめた


「裕理!?」


裕理「お疲れ」



その時、初めて私が泣いていたことを知った
生まれて初めて嬉し涙を流していた

そして、初めて裕理がカッコイいと思った



私は裕理の胸の中で泣いた

とても暖かかったんだ…



それを見ている陰に気づかずに…


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