時は誰も待ってくれない 下
「産みたい…私…赤ちゃん殺したくない…ッ」
道の真ん中で泣く私を誰かが見たらきっと
失恋したようにでも見えると思う。
本当はもっと深刻なこと。
私はもしかしたら隼人を失うかもしれない。
それは明日かもしれないし、今日かもしれない。
命は儚くて尊いものだと実感しているからこそ
お腹にいる小さな命を殺すことが出来ない。
私には、殺すなんて出来ないよ。
隼人はきっと良い思いはしない。怒るかもしれないし、嫌われるかもしれない…。
それでもちゃんとこの子は優の子で、この命を失いたくないってちゃんと伝えないといけないと思う。
私の体の中で不安と勇気が巡っている。
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