彼女の恋~小指の赤い糸~
違う。
あの場で主任に本当の事は言えなかった。
課長とは連絡は途絶えていたから大丈夫だって思ってた。
バレるわけないって思っていた。
「お願い……です。
離れた所で降ろして下さい」
「コソコソしたくない。
覚悟して降りて」
「主任?」
降りれないよ。
課長が怖い。
あの時の豹変した課長の記憶がよみがえってきた。
「無理です。
嘘なんです。
ごめんなさい。
全然平気なんかじゃない……」
主任は車を動かして駐車場を出た。
「分かった。
これから俺のアパートに行く」
「途中で降ろして貰えば」
「課長と会うのが怖いんだろう。
だから怯えてる。
今は心配で降ろせない」
その後は主任のアパートに着くまで主任は無言だった。