彼女の恋~小指の赤い糸~
「座れよ」
主任は部屋の隅に立ち尽くしていた私にそう言ってドカッとその場に座った。
私も座ると。
「警戒してんの?
離れすぎだ。
これじゃあ話が出来ないんだけど」
「充分、声は聞こえます」
「もっと、こっちに来たら」
小さく首を振ると主任はパッと立ち上がって近くに来て向かい合う形で座った。
「やっぱり課長と何かあったんだろう?」
「……」
主任は目を細めて私を見た。
「黙っていればやり過ごせると思ってる?
はっきり言わせて貰うよ。
巻き込んだ時点で中島さんは俺に話す義務があるんだよ。
例え中島さんが話したくなくてもね」