彼女の恋~小指の赤い糸~


「私は一人で帰ります。
主任も、お一人でどうぞ」


「いいから行くぞ」

「だから、一緒になんて……」


「いいから、来いよ」

「ちょっとっ、引っ張らないで下さい」


イタイッ!!
……そんなにグイグイ引っ張らないでよ。


「聞いてます?
痛いですって、もうっ……分かりました。
分かったから……一緒に帰るから手を放して下さい」



やっとの事で主任を止めて手を離して貰った。
放された腕がジンジンしている。


主任のばか力。



「腕、痛いか?
悪い引っ張り過ぎた」


ジンジンする腕をさすっていると心配そうに私を見た。
心配するぐらいなら最初からしないでほしい。


「半分は中島さんが悪いんだぞ。
逃げようとするから」


はあぁ?


主任の勝手な言い分に半ば呆れ怒る気にもなれずに、そのまま歩き出した。


「おい、勝手に行くなっ」



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