彼女の恋～小指の赤い糸～

主任は直ぐに私に追いついたけど知らないフリをして歩き続けた。


ホテルを出た所で、もう一度腕を掴まれて立ち止まった。

「中島さん、歩くの早い」



帰りもタクシーに乗って帰る事になり乗り場まで行って二人で乗った。


「主任は何処までですか？」


それぞれの止まって貰う場所を告げるとタクシーは動き出した。



「主任はマンションに住んでいるんですね」


「あぁ、実家には兄貴夫婦が同居しているし子供が生まれれば狭くなるしな。
だから家を出た」


「そうですか」


タクシーは主任のマンションに着いた。


「中島さん、今日は頑張ったよな」


えっ？
何、急に……。


「じゃあ、月曜日に会社で」


主任はタクシーを降りて行ってしまった。



やっぱり今日の主任はいつもと違う。
時々、優しい言葉を掛けてきてなんか……変な感じっていうかちょっと不気味。