彼女の恋~小指の赤い糸~


主任は、意味ありげに私を見た。
まずいなぁ……。


「新婚家庭にお邪魔するなんて気が利かないですね」


なんとか誤魔化せたかなぁ……。
チラッと主任の顔を見ると何故か私から視線を外した。


「そんなに何度も行ってない。
……俺にもいろいろと事情ってもんがあるんだよ」


主任は、ずっと私から視線を外したままだ。


どんな事情があるのか分からないけど、主任にも触れてほしくない事があるわけね。


とりあえず、さっきの話しの事は追及されずに済みそうでほっとした。



最近は、やっぱり前と変わらず絡んできて憎まれ口を言うし私は負けたくなくて言い返してしまう。やっている事は変わらない。



でも、千夏の結婚式に話した時に誤解だって分かってから主任とは微妙に何かが変わって来ている気がする。



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