どうしたらいいですか?

アンリside

―アンリside―





生まれたときから、何不自由なく生きてきた。



「アンリ様。縁談のあがったお方から贈られた、50億のダイヤの指輪でございます。」




私、アンリ・シレェ。

ここ、フローレ大国で王族の次に権威のある大臣になる家系に生まれた。

そして両親は私にはうんと甘かった。


だから、いつだって物事は私の思い通りに動いてきたし、それを当然だと思っていた。



“あの時”までは―――。





「ご苦労様ね、ルゥ。

・・・ふぅん。50億の指輪ねぇ・・・別にそこまで綺麗でもないわね。」


私は呟き、メイドであるルゥから受け取った指輪を、投げるように返した。



「いらないわ。そんなもの、どこにでも転がってる。」


日の光を屈折させ、キラキラキラキラ輝く宝石が埋め込まれた指輪。

誰が見ても綺麗だと称え、うっとりするだろう。



でも、いらない。

そんなもの、欲しくない。


だって本当に、お金さえあれば簡単に自分のモノになる。

そして私はそのお金なら、有り余るほど持っている。



私が欲しいのは、そういうものじゃない。





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