どうしたらいいですか?
ルゥが困ったように眉を八の字にさせる。


こげ茶色のおさげ髪。

睫の短いハシバミ色の瞳。

そばかすの散った白い肌。


平凡な容姿のただのメイド。

あなたが困ろうが、私は別にどうとも思わない。



「ですが、アンリ様・・・。こちらは縁談があがったお方の気持ちがこもっていまして・・・・・・・」


気持ち?

はっ・・・お金と権力へのでしょう?
私への気持ちではない。



「言ったでしょう?縁談は断ると。」

「ですが、お父様が・・・」

「お父様がなんと言おうと、私は受けない!!!」


声を荒げれば、ひそやかなため息が聞こえた。



「・・・・・・アンリ様。

王子様から婚約を破棄され、苦しいというのはよく分かります。

ですが、どうか前を向いてくださいませ。

王子様との婚約は、そりゃあ残念でしたが、他にもアンリ様を愛してくださる方がいます。」


ルゥが、哀れみのこもった瞳で私を見る。

私はそんなルゥに、嘲笑を浮かべてやる。




「えぇ、勿論。そんなの当然でしょう?

私はあなたみたいに貧乏でも平凡でも・・・冴えないわけでもないのだから。」


クスリ、と笑いながら哀れむようにルゥを見る。

本当、貧相な容姿で可哀想・・・というように。





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