有界閉領域
前回と同じコースを順々に辿る。
「前に見たから説明はいいでしょ?」
はっきり言ってメンドくさい。
初めての人なら熱を入れて説明したけど、1度見ているし、まして2人っきりとか、疲れるだけだから。
「リョウの彼女なんだって?」
「そうです。」
「いつから?最近?やっぱ最近だね。前にリョウの部屋に弥生さん入っていくの見たから、ごく最近って事だよね?」
「そうです。」
私がショックを受けるのを期待しているようだけど、リョウの過去とか全く興味ないから、何聞いても全然平気なんだよ。
「へぇ~。リョウにしては珍しくAランクってところかな~。あいつは小さくて可愛い子が好きだったのに、好み変えたんだね?」
人を肉のランクみたいに言わないで欲しいわ。
それに『小さくて可愛い子』最大のNGワード。
でも、今は全然平気。
ちょっと前までそれを言われると凹んだけど、今は何とも思わない。
「私とは正反対の人が好みだったみたいね。飽きたんじゃないの?それだけよ」
「ふ~ん。でも本気で好きな人は変わってないと思うよ?」
切れ長のクールな目が意地悪に光った。
何なのこいつ!!
私を怒らせたいのだろうか?
「何で私にそんなこと言うの?」
「だってさぁ~。俺一目惚れしちゃったんだよ、真由さんに。だからリョウが本気じゃないって分かって欲しいからさぁ~。」
私だって本気じゃないわよ!
だからショックじゃないはずなのに・・・何故か胸が辛い。
「たとえ、リョウが本気でなくても、私がいいんだから、いいじゃない?それに年下には興味ないの」
中学生相手に大人気ないって分かっているのに、つい、ムキになってしまう。
角を曲がり音楽室に入る時、つい、力強く開けてしまった。
「怒らせちゃった?ごめん・・・俺って、欲しいもの我慢できない性格なんだ。だから、リョウと別れて、俺と付き合おうよ」
整った綺麗な顔で、マジにそう言うことを言うところが、リョウと同じDNAを感じる。
「話聞いてた?年下には、興味ないの」
さっさと次の教室に移動しようとする真由の腕を、レイに掴まれる。
「ちょっと・・・」
何すんのよって言おうとした時、レイの方に引き寄せられた。
華奢に見えたのに、体は筋肉質で力強い。
額にかかるレイの息。
「じゃ~さぁ~、今から俺に興味持ってよ」
降りかかる低音の声に、心臓がドキドキする。
「ちょっと・・・離してよ・・・」
驚いてドキドキしているだけだから・・・たぶん・・・
冷静になろうと必死に努力するが、ドキドキが大きくなるだけで効果無い。
それにますます、抱きしめられている力が強くなる。
「俺って我慢も出来ないけど、チャンスも逃がさない性格でね。だから・・・」
言葉の続きより、顔が近づいてくる。
えっ、えっ・・・エエ━━━━!!
その時、廊下がざわつき、話声が聞こえてきた。
一瞬力を抜いたレイの体を、思いっきり押しのける。
「あっ。」
ガラッと開いたドアから、玲奈ちゃんと戸塚さんが顔を出す。
驚く玲奈ちゃんの顔が、気まずそうに曇った。
取り乱し気味の真由、押されたことでバランスを崩すレイ。
誰が見ても何かあったと察しがつく。
人が入ってきても全く気にしないレイが、ムッとした顔で真由の腕を掴んだ。
「玲奈ちゃん、音楽室じゃないよ?生物室だったよね?」
戸塚さんの慌てたようなとっさの大きな声。
「そうそう、生物室だった。だからあっちだって」
慌てて玲奈も大きな声でそう答える。
もしかして・・・リョウが廊下にいる???
「生物室?西棟じゃねーか。あ~、めんどくせー」
リョウの声が廊下に響いた。
ビクんと体が固まる。
思わず腕を掴んでいるレイを睨んだ。
レイは廊下にリョウがいるのに、全く気にしていない様子だ。
むしろこの状況を楽しんでいるみたいにシニカルに笑う。
最低!!
声を上げる訳にもいかず、ただ玲奈ちゃんと戸塚さんが出ていくのを息を潜めて待つしかない。
「前に見たから説明はいいでしょ?」
はっきり言ってメンドくさい。
初めての人なら熱を入れて説明したけど、1度見ているし、まして2人っきりとか、疲れるだけだから。
「リョウの彼女なんだって?」
「そうです。」
「いつから?最近?やっぱ最近だね。前にリョウの部屋に弥生さん入っていくの見たから、ごく最近って事だよね?」
「そうです。」
私がショックを受けるのを期待しているようだけど、リョウの過去とか全く興味ないから、何聞いても全然平気なんだよ。
「へぇ~。リョウにしては珍しくAランクってところかな~。あいつは小さくて可愛い子が好きだったのに、好み変えたんだね?」
人を肉のランクみたいに言わないで欲しいわ。
それに『小さくて可愛い子』最大のNGワード。
でも、今は全然平気。
ちょっと前までそれを言われると凹んだけど、今は何とも思わない。
「私とは正反対の人が好みだったみたいね。飽きたんじゃないの?それだけよ」
「ふ~ん。でも本気で好きな人は変わってないと思うよ?」
切れ長のクールな目が意地悪に光った。
何なのこいつ!!
私を怒らせたいのだろうか?
「何で私にそんなこと言うの?」
「だってさぁ~。俺一目惚れしちゃったんだよ、真由さんに。だからリョウが本気じゃないって分かって欲しいからさぁ~。」
私だって本気じゃないわよ!
だからショックじゃないはずなのに・・・何故か胸が辛い。
「たとえ、リョウが本気でなくても、私がいいんだから、いいじゃない?それに年下には興味ないの」
中学生相手に大人気ないって分かっているのに、つい、ムキになってしまう。
角を曲がり音楽室に入る時、つい、力強く開けてしまった。
「怒らせちゃった?ごめん・・・俺って、欲しいもの我慢できない性格なんだ。だから、リョウと別れて、俺と付き合おうよ」
整った綺麗な顔で、マジにそう言うことを言うところが、リョウと同じDNAを感じる。
「話聞いてた?年下には、興味ないの」
さっさと次の教室に移動しようとする真由の腕を、レイに掴まれる。
「ちょっと・・・」
何すんのよって言おうとした時、レイの方に引き寄せられた。
華奢に見えたのに、体は筋肉質で力強い。
額にかかるレイの息。
「じゃ~さぁ~、今から俺に興味持ってよ」
降りかかる低音の声に、心臓がドキドキする。
「ちょっと・・・離してよ・・・」
驚いてドキドキしているだけだから・・・たぶん・・・
冷静になろうと必死に努力するが、ドキドキが大きくなるだけで効果無い。
それにますます、抱きしめられている力が強くなる。
「俺って我慢も出来ないけど、チャンスも逃がさない性格でね。だから・・・」
言葉の続きより、顔が近づいてくる。
えっ、えっ・・・エエ━━━━!!
その時、廊下がざわつき、話声が聞こえてきた。
一瞬力を抜いたレイの体を、思いっきり押しのける。
「あっ。」
ガラッと開いたドアから、玲奈ちゃんと戸塚さんが顔を出す。
驚く玲奈ちゃんの顔が、気まずそうに曇った。
取り乱し気味の真由、押されたことでバランスを崩すレイ。
誰が見ても何かあったと察しがつく。
人が入ってきても全く気にしないレイが、ムッとした顔で真由の腕を掴んだ。
「玲奈ちゃん、音楽室じゃないよ?生物室だったよね?」
戸塚さんの慌てたようなとっさの大きな声。
「そうそう、生物室だった。だからあっちだって」
慌てて玲奈も大きな声でそう答える。
もしかして・・・リョウが廊下にいる???
「生物室?西棟じゃねーか。あ~、めんどくせー」
リョウの声が廊下に響いた。
ビクんと体が固まる。
思わず腕を掴んでいるレイを睨んだ。
レイは廊下にリョウがいるのに、全く気にしていない様子だ。
むしろこの状況を楽しんでいるみたいにシニカルに笑う。
最低!!
声を上げる訳にもいかず、ただ玲奈ちゃんと戸塚さんが出ていくのを息を潜めて待つしかない。