有界閉領域

夏休み

夏休みに入り、リョウはカナダに行ってしまった。







結局、何も聞けないし、言えないし、意気地なしの自分だけがここにいる。







カナダに出発する前の夜、リョウから電話があった。







『バスケ部の連中と海に行くんだってな?』







行くと決まった訳でもないのに、誰から噂でも聞いたのだろう。








『俺と行く前に、他の男と海とか何考えてるんだ?』









声だけでもすごく怒っているのがよく分かる。








弁解しても、どうせ怒るから言わない事にした。









『お前は・・・本当に・・・。いつでもどこでも男にちやほやされないと生きていけない病気なのか?』





   また始まった。



   リョウのイライラが。








自分だって、カナダで関屋さんと会うくせに、どうせメールだって毎日しているんでしょ?人の事、とやかく言えないじゃない。









『それに、昨日東山が『真由さんの事、本気じゃないなら別れてください』ってほざきやがったしな?』





    えっ?嘘・・・








『だから言ってやったよ。真由とは絶対別れないってな。お前を手放す気はぜってーねーからな!』






   


   イラついているのは、嫌だけど、別れるつもりはないって言葉が、嬉しかった。




   
   


   たとえ2番でもいい。



   
   私は、リョウが好きだから。



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