いつか、また、きっと
十代後半のようだった。
笑うとずっと幼く見える。
何となく懐かしいと感じる笑顔。

私はそれ以上、格別の気持ちも覚えなかった。

心は昨日から白紙のままだ。



「ねえ、百貨店の屋上に行かない?」



彼が言い、私はどうでもよさそうに頷く。
店を出ると、彼が自然な所作で私の左手を握った。

温かく懐かしい感触に、私は抗わない。

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