叔父さんと私  ~危険な恋のレッスン~
「このパエリア、いい味だな」

叔父さんはパエリアのサフランライスを美味しそうに口に運ぶ。
私は恋の相手が気になって、探りを入れてみる。

「ねえ……今度の小説って、どんな話?」

「ん~、そうだなぁ」
叔父さんはワイングラスをクイッと煽ると、
「人妻とホストが恋に堕ちて、最後に心中しちゃう話」
と唇に指を添えて、色っぽくワインを拭った。

なるほど。
今度の相手は人妻か。

そこから叔父さんは新作のストーリーを語り始める。
私はなんだか悔しくなって、「あのさっ」と話に割って入った。

「……叔父さんて、いないの?」
「え?」
「あ、いや、だから……好きな人とか、コイビト……とか、いないのかなって」

自分でも思いもよらない言葉が口から出てしまった。

叔父さんはふっと真剣な顔になると、
「何で、いきなり?」
と訊いてきた。


「何でって……」

言葉に詰まる私。

トクン……トクン……。

鼓動が高まっている。

トクン……トクン……。

叔父さんの視線が私に注がれている。

どうしよう……何て答えよう。

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