彼氏契約書
「何の冗談?」

この子、バカなんじゃないの?

突然うちに来たと思ったら、彼氏代理人だなんて。

大体、アンタは、私の部下で秘書でしょ?

どこからそんな発想が生まれるんだか・・・

呆れた顔で蒼空を見上げる私。

…でも、当の蒼空は、とても愛らしい笑顔を浮かべている。


「これが冗談に見えますか?」

「・・・」

見える、私には完全に冗談にしか見えない。

でも、笑顔だった蒼空は、いつの間にか真剣な顔になっていて、

それを口にすることは出来なかった。


「この1年間、美緒さんの秘書をしてて思ったんです。

美緒さんには、愛が不足してるんです」


「・・・は?」

・・・何を急に言い出したかと思えば。

愛が不足してる?いいえ、私は愛なんかに飢えてなどいない。

仕事が恋人と言ってもいいほど仕事を愛してる。

大好きな服に囲まれて仕事をする、これほどの幸せが他にあるか?

…きっと私には他にない。そう思える。


「だから、美緒さんが心から愛する人が現れるまで、

この僕が、美緒さんに愛を注ぎます」

「なっ?!」
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