彼氏契約書
「どうしたの須藤?」

いつも冷静沈着な蒼空が、顔色を変えている。


「生産工場でトラブルがあったそうで、

生産中の服が、すべて生産ストップしました」


「え?!」


「今からそちらに向かうと言ったんですが、

あいにく社長は県外に出張中で・・・」


「それじゃあ私が行くわ。社長には行く道中で、

連絡入れるから・・・須藤、アンタらしくない、落ち着きなさい。

大丈夫、出荷までには立て直すわよ」


そう言って満面の笑みを見せると、安心したように、

蒼空も微笑み頷いた。


「僕は、専務の仕事の調整が出来次第、工場に向かいます」

「わかった、お願いね、私は一足先に工場に向かってるから」

互いの言葉に頷き、私たちはそれぞれの場所へと向かった。


…それから数時間後。


工場が立て直したのは、翌日の早朝だった。

私は出荷予定のお店すべてに、事情をすべて話し、

一日だけ遅れる事を伝え謝罪。

本社に戻ったのは、真っ暗になった9時になった頃だった。
< 56 / 173 >

この作品をシェア

pagetop