彼氏契約書
…私はその言葉に、思わず蒼空を睨んでいた。

だって、いとも簡単に、私の考えを、

口にしてもいないのに、分かっちゃうんだもの。


・・・でも、私の睨みにも、

蒼空は全く動じていないようで・・・。


「美緒さんの睨みって、カワイイ顔ですよね」

「?!」

思ってもいない言葉に、私はお茶を吹き出しそうになった。


「ゴホッ…ゴホッ・・・」

「大丈夫ですか?」

心配そうな顔でこちらを見る蒼空。


「…大丈夫よ、さっさと食べたら、仕事に戻るわよ」

「はい」

何とか話を逸らした私は、急いでご飯を平らげた。


ぴりりりりりり・・。

突然の携帯の音、それは蒼空の携帯で。


「ちょっとすみません・・・・はい、須藤です。

…はい…エ?!…分かりました、急いでそちらに向かいます」


慌てたように蒼空は携帯を切った。
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