彼氏契約書
…この日からだろうか、私と蒼空の関係が

少しずつ変化し始めたのは。

「須藤、これお願いね」

「・・・はい」

手渡された書類を、いつもの笑顔で受け取る蒼空。

・・・でも、その笑顔は、今までの物と全く違った。


『作り笑い』


その言葉がピッタリと当てはまった。


「…須藤」

「・・・なんですか?」


行こうとする蒼空を、無意識に止めていた。

蒼空は振り返り、こちらを見つめる。


「・・・ううん、ごめん、なんでもない」

「そう、ですか?」

蒼空は小首を傾げながら、専務室を出ていった。


…私は深い溜息をつく。

どんどん距離が出来ているような気がして・・・

このままでいいわけがない。

…蒼空に好きだって言う?
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