恋するほど   熱くなる
ε.危険なボーカリスト
スタジオにはメンバーの他にスタッフが数人いた。

彼らは皆私を見て驚いていた。

自分達と同い歳くらいの女が

こんな詩を書く?

とたぶんそう思われた。

「美莉、メンバーを紹介しょう。」

私は一人一人と握手をした。

リーダーは卓巳と言った。

「君の詩に曲をつけたから聴いて。」

卓巳はピアノを弾きながら歌った。

詩がヘビィな割りには曲はソフトだった。

彼は歌い終えてから私に言った。

「これから編曲するんだ。完成したらぜひ聴きに来てくれないか?」

「はい。」

彼らは休憩するのかスタジオの外へ出て行った。

荒木さんは須山さんに他の詩を見せていた。

私は一人でピアノに向かい

目の前にある楽譜を見ていた。

スタッフもスタジオを出て行った。

荒木さんは須山さんと詩に目を通していた。

私はピアノの前に座り

卓巳の書いた楽譜をながめていた。

「弾けそうだわ。」

ポロロンと弾き始めた。

さっき卓巳が歌ったように歌い

適当に伴奏を入れた。

この詩は二番までだったが

後で三番を付け足した詩だった。

私は弾きながらここに書かれていない三番の詩を思い出しながら歌った。

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