可愛くない彼女,

思い切り口に出してた。



「あたしは・・・あんたの’’物’’なんかじゃない。



ちゃんと・・・好きな人がいるの」





走って走って教室をでた


みんながどんな顔をしてたのか


みんながどんな声をだしてたのか


矢野くんがどんな表情をしてたのか



まったくわからなかった。






ただ

見えたのは



恭夜。






「恭夜・・・・」


勝手にとまるあたしの足





「あたし、恭夜が・・・好き・・・」





はじめて素直に言えた言葉。




だったのに










彼の顔は曇ってた。



「お前、やっぱりかわいくねぇよ・・・」








恭夜の背中から、ひょっこり顔を出した女の子。




ニヤリと笑うその顔。




「え・・・・?」




「かわいくねぇよ。俺、彼女できたから・・・。」






昨日の「好き」は・・・?


ねぇ


昨日の好きは?





好きじゃなかったの?








あたしの中から顔を出し始めてた’’素直’’はまたどこかへ消えた。
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