吐き出す愛


 ……だけど、しょうがなかったんだよ。

 どうしてもやっぱり、有川くんを信じることは出来なかった。

 私のことを好きだと言いながらも、他の女子とキス出来る心情なんて。
 理解出来なかったし、理解しようと思えるわけもない。

 だから……。


「これで……良かったんだよ……」


 ぎゅっと瞼を閉じて、溢れる涙にそう言い聞かせた。

 別に、これで良かった。
 有川くんは、私の世界には関わるべき人ではなかった。

 たとえもう、彼が私に話しかけてくれなくても。
 たとえもう、彼が私を好きだと言ってくれなくても。
 たとえもう、彼が私に笑いかけてくれなくても。

 それを寂しいだとか悲しいとか思う必要なんて、私には最初からないよね。

 全部、振り出しに戻っただけなのだから……。



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