「涙流れる時に」
PM 12:00社員食堂

明日から大型連休に入るってこともあって社内はどことなく慌ただしかった。

昼間の社員食堂は今日も賑わっている。

るみ子の妄想は現実へと変わる・・・そんな日の始まりだった。

「ねぇ・・・今晩飲み会来ない?」

「え?・・・今晩?」

紗江はなんだかいつもよりニヤニヤしながらそう話しかけてくる。

「う・・・うん・・・。」るみ子は急な誘いに困惑していたが・・・つい「うん」と、うなずいてしまった。

「じゃあ、決まりね。」紗江はそれを聞くと、すかさず、スマホで誰かと連絡を取り始めた。

「あっ。そうそう・・・るみの逢いたい人も呼んだからね。」

「え・・・?」一瞬、るみ子はハッとした。

逢いたい人って・・・今、思い浮かぶのは彼だけだったから。

人事の牧村?

「そうなんだ・・・紗江ったら・・・」紗江の顔は「してやったり」って表情。小悪魔チックで可愛かった。

「そうなんだぁ・・・来るんだぁ・・・」

それからというもの、仕事がおぼつかない・・・るみ子は内心、ワクワクしてしょうがないかったから。

想いを寄せる男に逢える喜びは隠せない。体中の血管が火照り始めた。

「もうじき逢えるんだね。」

高まる鼓動に合わせて妙な焦り。

「久々に男性とお酒を飲む・・・酔ってしまったらどうしよう・・・」そんな戸惑いすらも久々で・・・
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