「涙流れる時に」
定時になるとるみ子は誰よりも早く更衣室へ駆け込んだ。

まだ誰もいない女子更衣室

ロッカーには万が一のために、るみ子はお泊りセットを準備していた。

急なコンパやお泊り。そんな時のためにって、独身女性なら意外とやってたりする。

「今晩は特別だよね。」るみ子は憧れの牧村のために女を飾る。

「ちょっと派手かな・・・」いつもより濃いめのルージュでメイクにも力が入るのは当たり前だったけど

それよりも、るみ子は下着には特別に力を入れていて

その日はいつになく妖艶な・・・赤い透け感あるランジェリーを選んだ。

まだ誰もいない静まりかえった更衣室の鏡の前で、そっとその下着姿を確認する、るみ子。

「やだ・・・私・・・」

くびれたウエストからパンティーの線を指でなぞる。

「牧村に見せてしまおうか・・・見られたい・・・」

そんな束の間の欲情・・・パンストを履きあげながら、しばしその「赤」は封印させた。

「そうだな・・・」定番のブラウスの胸元をちょっとだけ大胆に開けるのも、わざと・・・

完全に男を意識した行動に、るみ子は興奮が隠せなかった。
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