さみしがりやのホットミルク
憎悪をむき出しにして睨みつける俺を目の前に、母さんがふわりと、この場に似つかわしくない美しい微笑みを浮かべる。



「わかるでしょう? 代々直系の者が引き継ぐこの組では、あなたの存在は必要不可欠なの」

「……ッ、だから!」

「だからね、これから先また今回みたいなことが起こっちゃうと……困るのよねぇ、いろいろと」



悩ましげなため息をつきながら、母さんの指先が、パソコンのふちをなぞった。

画面の中の佳柄は、ぴくりとも、動かない。



「──そんなわけで、晴臣には、今ここで3つの約束をしてもらうわ」

「……約束?」

「そう、約束。それを今後絶対に守ると誓うのなら、この子は無事に解放してあげる」



俺がもう変な気を起こさないと察したのか、俺にしがみついたままだった伊月が、ようやく手を離した。

迷うことなく、俺はうなずく。
< 122 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop