さみしがりやのホットミルク
「なんだ。おにーさん、意外とヤル気じゃん」

「……失せろ。あんたら見てると、吐き気がする」

「──ああ? てめぇクソガキ、イキがんなよ」

「あんまり調子のってっと、ボコるだけじゃ済まさねぇぞ」



冷ややかな眼差しで俺が放った言葉に、目の前の男たちの表情が変わった。

俺は持っていたかばんを乱暴に投げ捨てて、ざり、と地面を踏みしめる。

自然と、口角が上がった。



「……やれるもんならやってみろ、底辺」

「ッ、てめぇ……っ」



激昂した相手が、俺に殴りかかろうと、数メートル先で地面を蹴る。

俺もすばやくその動きに応じようとして、とっさに腰を落としながら右手を顔の前に持ってきた。


──その、とき。



「……ッ、」



目に、入ったのは。昨日佳柄がくれた、青い石のブレスレット。

右手首につけたそれが、陽射しを反射して、きらりと光って。



《……オミくんが、この手で、誰かを傷つけることがありませんように》



その一瞬のうちに、目をとじて俺の手を握る彼女の表情と、やさしい言葉が、頭の中によみがえる。



「くたばれやクソガキィ!!」

「……ッ、」



……ごめん、佳柄。


心の中で謝りながら、ぐっと、右手のこぶしを握りしめて。

俺は、目の前の相手を見据えた。
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