さみしがりやのホットミルク
「くっそ、いけすかねぇツラしやがって!」

「ッ、」



肩を抑えつけられながら、それでもぎろりと目の前の男を睨むと、今度は右頬を殴られた。

口の中を切ったのか、じわりと、血の味がする。



「ハッ、不良クンも、所詮はいい子ちゃん学校の生徒ってことか」

「………」

「そのツラ、学校行けなくなるくらい、ボコボコにしてやるよ」



完全に、俺が学校にバレるのをおそれて抵抗していないと決めつけているらしいそいつが、馬乗りになったままにたりと笑う。

……馬鹿だな、こいつら。ぶっ飛ばしたい。

そうは思うけど、俺はぎりりと、横に投げ出した両手を握りしめるだけにとどめて。

1度きつく睨みつけてから、それでも、抵抗しないでいると。



「……おい、そいつって──」



俺の足元に立っていた金髪の男が、急に顔色を変えて、口を開いた。

不機嫌そうに、馬乗りになった男がその金髪を振り返る。



「あ? んだよ、」

「そのガキ……“オオトリ”の、やつじゃ……」 

「はっ?!」

「……、」



金髪の言葉を耳に入れたとたん、バッと勢いよく、俺の上から男が退けた。

俺は聞こえた“オオトリ”の単語に、思わず眉を寄せる。
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