鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
第二資料室の鍵を開けた課長は周りを警戒してる。



だけどここは普段人通りも少ないし、密会現場とはいえさすがにこんな朝早くからそんな破廉恥な真似をする人たちもいないから廊下にすら人はいない。



「・・・入って」



いつもより低い声で第二資料室に促され、恐る恐るあたしは中に入ることにした。


薄暗く少し埃っぽいこの部屋は本棚がたくさん並んでいるだけで正直、こんなところで密会なんてしたくないな。


課長に背を向けて資料室の中を見渡しているとガチャンとドアが閉まる音がする。



なんだろう、電気もつけずに不気味だな。スイッチに手を伸ばそうと振り返ったときだった。

「・・・つけるな」



課長が強く私の腕を掴み、どんどんと資料室の中に入っていく。本棚のずっと奥まで進むと私体を本棚に押し付けた。壁ドン!この展開がさっぱりわからないし、暗くて課長の表情もわからない。

でも、革靴が響く音がして目の前の課長が更に近づいてくる気配がする。とっさにギュッと強く目を瞑った。


それなのに、急に目の前に光が当てられて眩しくて目を開けると課長が、私の顔の前に携帯を差し出していた。



「これ、頼む。十時にはこのボルテージが回復して入れるステージがあるんだ。でも、俺、どうしても抜けられない会議が今からあって」

「は、はあ」


「頼む!このステージに入って、このキャラ選んで押してくれないか?後は消して待ち受けに戻してくれたらいいから。こんなこと佐伯にしか頼めないんだ。本当に頼む」
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