鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
「俺たちは義理の兄妹なんだ!」

部署にも戻りたくない、週末も憂鬱。そんな風に思っていたとき、テレビから聞こえてきたセリフ。義理の兄妹。

そういえば、義理の兄妹ってよく漫画やドラマでもある設定だけれど、義理の兄妹って結婚できるんだっけ?いや、兄妹っていうんだから結婚なんてできないはず。

だから漫画でもドラマでも、何かとそういう設定を出しては悩ませるってことかもしれない。そう考えた私は、ある一つの決断をした。これなら、再婚なんてできないはず。

「ちょ、ちょっと、美晴!気持ち悪いんだけど、その顔」

「うへへ。やっぱり神は、私を見放さなかったってことだよね」

私の考えたシナリオはこうだ。再婚相手にも一人息子がいるという話だけは聞かされた。その人を利用してやろう。実は、私はその人のことが好きで、その人と義理の兄妹にはなりたくない。

「お父さん、私、この人のことが好きなの。だから私は、兄妹になんてなりたくない。むしろ、私が結婚したいの!」


きっとこう言えば、お父さんは私を大事に思ってくれているから再婚なんてしないはず。それに、もしこれがうまくいけば、彼氏が出来るかもしれない。


しかもイケメンとかなら超ラッキー。まあブ男だったら適当にあしらって別れちゃえば再婚もブ男との結婚もない。ただ相手が既婚者や彼女がいたら面倒だな。


そのときは、謝ればいいか。多少の犠牲は仕方ない。それならお父さんを嫌な気分にさせることもないでしょう。




とりあえずこの作戦で週末は乗り切ろう。



うふうふと笑いが止まらない私を琴美はただ不気味そうに見ている。私はそのまま残り二つだったチョコをその気味の悪い笑みを浮かべながら口に入れた。
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