鬼上司？と嘘恋から始めるスイートラブ
「ほら、お前も飲め」

怒り口調なのに、奢ってくれるのがまた面白い。さっきコーヒーを飲んだから、お言葉に甘えてジンジャーエールを押した。それを開けるとプシュっと音がする。その音に課長がチラっと私を見た。


「よく飲めるなそれ。口の中がシュワシュワして痛いだろ」

「はい？えっ課長ビール飲まれてましたよね？」

「それは『課長』だから飲むに決まってんだろ」

「だからあんず酒なんですね。なんでビールを飲む人があんず酒なんだろうって思ってました」

「課長があんず酒なんて飲めないだろ。でも、ビールは好きじゃないし、本当なら飲みたくない。だから炭酸をガブガブ飲むやつの気が知れない」

お子様と心の中で思った。口の中にシュワシュワと溶けていって喉越しがくっと絞められるのがいいのに。

「美味しいから飲んでみませんか？課長」


蓋を開けたジンジャーエールをニヤニヤしながら渡すと「いらない」と拒否をする課長が可愛くて何度も嫌がらせをしてしまう。楽しくてさっきまでの嫌な気持ちがこの泡のように一瞬で弾けた。
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