鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
「すみません、そろそろ二人で話をさせてもらえませんか?こんな風に温かく迎えてくれると思っていなかったので美晴も僕も喜びと戸惑いでいっぱいで。これからのことをじっくりと二人で話したいと思うんです」



営業スマイルまでいっぱいの課長の言葉に、お父さんも冴子さんもニコニコして、私たち二人を送り出してくれた。お父さんと冴子さんってタイプが似ているのかも。普通ならどちらかがおかしいって言うでしょう。


でも、これが私の勘違いを利用した課長の作戦だということも気づいていない私は、嫌々ながらもレストランのフルコースを食べることもなく、チェーン店のこのコーヒーショップに連れてこられた。


課長は、甘ったるいフラペチーノとチキンサンドを注文し、私は、アメリカンとサーモンサンドを注文した。


サーモンサンドは、美味しいけれど、本当ならフルコースが食べられたのに。それもこれもこの目の前の課長のせいだ。


せっかく、お父さんがお祝いなんだからせめて料理だけでも食べて帰ったら?と提案してくれたのに、早く二人になりたいとか言うから。


恨みの気持ちを込めて、サーモンサンドに思いっきりかぶりついた。
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